家や土地などの不動産を売却するには仲介手数料や税金など様々な費用がかかります。
一般的に不動産売却でかかる費用は売却価格の4~6%程度と言われていますが、具体的に「手数料がいくらかかるか」「いつ支払えばいいか」を分からない人も多いでしょう。
そこで今回は、専門家監修のもと不動産売却で発生する費用の中でも額が大きい「仲介手数料」を中心に金額の相場や支払いのタイミングを解説していきます。
【不動産売却の費用一覧】仲介手数料が大半を占める⁈
この例を見て分かる通り、不動産売却にかかる費用の大半は仲介手数料が占めていることが分かります。
概算ではなく実際にかかる費用が知りたい場合には、お気軽にお問合せください。
「累計100件以上の不動産売買仲介の実績あり」「市場相場よりも高値での不動産売却の実績あり」などの条件を満たした経験豊富な担当者が、不動産売却を検討している方に適切な費用感をお伝えすることができます。
仲介手数料
不動産会社に物件の販売活動を行ってもらい無事に売れた場合に仲介業務の報酬として支払われるのが仲介手数料です。
仲介手数料に含まれるのは通常業務で発生する費用で、物件情報サイトに情報を載せたり、チラシ配布などの営業活動を指します。ただし、通常で行わない測量や建物の解体など特別な活動をしてもらうと別途費用が請求されます。
仲介手数料の相場
仲介手数料の上限は消費者が不利益を受けないように法律で定められており、不動産の売買価格によって以下の様に変動します。
多くの不動産会社は、自社の利益を最大化するために仲介手数料は上限いっぱいで設定しているのが一般的です。
例えば、不動産の売却価格が3000万円だった場合の仲介手数料は以下の様に計算となります。
売買成立しなくても手数料が必要な場合がある
仲介手数料はいわゆる「成果報酬」なので売却成立した時のみ支払いが必要で、一般的には売買契約時に仲介手数料の50%を支払い、物件の引き渡し後に残りの50%を支払うことになります。
ただし、次の2つの場合だけ売買が成立しなくても手数料の支払が求められます。
売買契約後に売り主又は買い主の事情で契約を解除する場合(手付解除)
売買契約の後、手付解除期日(通常30日間)までは、原則理由を問わず、買い主は手付金を放棄することで、売り主は手付金を返還し、さらに手付金と同額を買い主に支払うことで、契約を解除できます。
手付解除の場合は、売買は成立していませんが、仲介手数料を支払わなくてはいけません。
売買契約に対してどちらかが守らず契約を解除する場合(違約解除)
売買代金を未払いなど契約違反(債務不履行)の場合は、相手方が損害賠償の請求を行い、催告しても履行されないと契約を解除できます。
この場合も不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料の早見表
不動産の売却価格応じて仲介手数料の上限を計算すると次のようになります。
あくまで上限価格なので、上記の費用より仲介手数料を安く抑えることもできます。
印紙税
印紙税とは、経済的取引などに関連して作成される文書(契約書や領収証)に課税される税金で、売買契約書に「収入印紙」を張り付ければ納税を果たしたことになります。
印紙税は消費税増税の影響を受けて平成26年4月1日から令和2年3月31日までの間は軽減税額が適応され、契約金額の違いによって以下のように課税されます。
印紙税は契約書1通につき課税されます。売主1通保管する場合は、売買契約書が2通になるので2通分の印紙代がかかります。
実際の売買契約時には仲介をする不動産業者が印紙を用意しているケースが多いので、売主は事前に金額を聞いておき印紙税額相当の現金を契約当日に持っていきましょう。印紙税を納めないと、印紙税の3倍の過怠税が課されるので注意しましょう。
抵当権抹消費用
抵当権抹消費用とは、ローンを完済した際に抵当権を抹消するためにかかる費用です。抵当権とは、住宅ローンを組む際に、金融機関が不動産を担保として設定する権利を指します。
抵当権付きの物件は、住宅ローンを完済しない限り売主が勝手に売却できません。抵当権を抹消したら登記情報を変更をしますが、その際に必要な手数料が抵当権抹消費用です。
費用は、登記にかかる登録免許税と依頼する司法書士の方への手数料を含めて5,000円~2万円程度です。個人で抵当権の抹消を行う場合、1不動産あたり1,000円の登録免許税のみで済ませられます。
ただし、重要な手続きのため司法書士の方へ依頼する方が安心です。
住宅ローン返済手数料
売却する不動産にローンが残っている場合、一括返済のために金融機関の事務手数料が必要です。繰り上げ返済の手数料は金融機関によっても異なりますし、窓口で行う場合、電話で行う場合、ネット経由で行う場合も異なるケースが多数です。
例えば、三菱UFJ銀行の場合、窓口は33,000円、電話は22,000円、ネット経由は16,500円。三井住友銀行は窓口(書面)22,000円、窓口専用パソコンでの取扱い11,000円、ネット経由5,500円となっています。
譲渡所得税・住民税
建物や土地などの不動産を売って得た「利益」を譲渡所得といい、その譲渡所得に対して税金(所得税、住民税)がかかります。逆に言うと譲渡所得がなければこれら3つの税金はかかりません。
課税の対象となる譲渡所得は、「不動産の売却価格」から「不動産の購入時にかかった費用(取得費)」と「売却にかかった費用(譲渡費用)」を差し引けば求められます。
また、譲渡所得にかかる税率は物件の所有期間が5年を超えているか否かで次のように変わります。
その他の費用
ハウスクリーニング費用
不動産の売却に向けて部屋をキレイにしておきたいという人はハウスクリーニングがオススメです。
同じ住宅でも、住んでいるかどうかで費用相場は異なります。また、部屋の広さでも相場は変わり広いほどコストは高くなります。
空室の方がコストが安いのは、部屋に物がなく、スムーズに作業がしやすいからです。居住中だと荷物が邪魔になりやすいため、空室時よりも費用は20~30%程度アップします
測量費用
土地の測量は必須事項ではありませんが、「土地の境界を明確にして境界紛争を防止する」「土地の地積を確定して売買金額の確定をする」といった目的で行われます。
不動産を売る際、買主からは売却範囲の確認のため、境界確認書や確定測量図を求めらる場合があるので、境界が定まっていない不動産を売却する際には確定測量が必要です。
その際の費用は、仲介手数料には含まれずに、売主負担となるため注意してください。費用は50万円〜100万円程です。
解体費用
戸建てを解体し、更地として売却する場合には解体費用が必要です。
解体費用は解体する家の構造や建材によって変わります。木造、鉄骨、鉄筋コンクリートと頑丈さが異なり廃棄しづらい建材になればなるほど解体する費用は高額になります。
主な坪数ごとの解体費用は以下の通りです。
売買契約関連書類の発行費用
不動産を売却するには必要な書類がいくつかあります。
例えば、境界確認書、固定資産税評価書、住民票などの提示を求められる可能性があるため、お手元にない場合はお近くの市役所で再発行をしなければいけません。
再発行の相場は書類の種類によって変わりますが、だいたいの相場は300円程です。
費用を安く抑えるコツ
不動産売却にかかる費用は安く抑えたいと思っている方は多いのではないでしょうか。
この章では売却時に発生する費用の内、金額が大きい「仲介手数料」と「税金」を安く抑えるコツを紹介します。
仲介手数料を安くするコツ
ただ、むやみな値引き交渉は禁物です。仲介手数料を割り引くと熱心に販売活動をしなくなる可能性があるからです。満額支払って不動産会社にしっかり動いてもらった方が結果的に利益は大きくなるかもしれません。
例えば、2000万円の売買で仲介手数料を1%値引いても費用の差は20万円しかありません。それであれば、満額支払って不動産会社に気持ちよく動いてもらい少しでも高く売ってもらった方が売主によってもメリットがあります。
どうしても仲介手数料を安くしたいなら、値引きをしても不動産会社が熱心に販売活動をしてくれる理由が必要です。例えば、不動産会社と媒介契約を締結する際に専属専任媒介契約を選んで「1社のみに仲介を依頼する」と意思表示をするのは有効な手段の1つです。
手数料が無料の不動産会社がいる理由
不動産会社の中には、仲介手数料は無料と謳っている会社もいますが、このような会社はほとんど「両手取引」を行っている不動産会社です。
両手取引とは、1つの不動産会社が売主と買主両方の仲介を担当することです。つまり片手取引(売主、買主のどちらかを仲介)の場合と比べて、仲介手数料を2倍得られる仕組みです。
仲介手数料を無料にしている不動産会社は、この両手取引によって買主から仲介手数料を得ているため、売主からの手数料を無料にすることができます。
もしくは、不動産会社の購入と売却を同じ会社に任せる場合も上記の条件が当てはまるため、値引きがしやすくなります。
しかしながら、両手仲介では最高額での不動産売却は難しく、結果的に損をしてしまう可能性もあります。
そのような事態を避けるためには、売却経験が豊富かつ柔軟な対応をできる不動産会社を見つけることが大切です。
税金を安く抑えるコツ
3000万円特例控除
家を売却して売却益が出た場合に、譲渡所得から3000万円までが控除できる特例です。
つまり、家を売却して得た利益が3000万円以下であれば税金がかかりません。
この特例を受けるには次のような条件を満たす必要があります。
・マイホームを住まなくなってから3年以内に売る
・マイホームを売るまでにその他の土地活用をして利益を得ていない
・売った年から3年前までこの特例を受けていない
・売り手と買い手が親子などの特別な関係にない
10年超所有軽減税率の特例
不動産の所有期間が10年以上の場合、3,000万円の特例控除の特例と併用して軽減税率の特例を適用できます。譲渡所得の内6000万円以下の部分については、通常20%(長期譲渡所得)の税率が14%になります。
ただし、この制度で控除を受けると、「特定居住用財産の買い換え特例」は利用できなくなるので注意してください。
特定居住用財産の買い換え特例
買い替え特例とは不動産を売却した代わりに、居住用不動産を購入したときに活用できる制度で、一定条件を満たすことで、譲渡利益への課税が「繰り延べ」できます。
繰り延べなので、無税になるわけではありません。将来買い換えた家を、さらに譲渡したときに、このときの譲渡利益課税がまとめて課せらます。あとで困らないように、その点をしっかり理解しておきましょう。
買換え特例を利用する場合は、一定条件を満たす必要があり、条件としては主に以下のようなものとなります。
また、買換え特例は前述した3000万円特例控除との併用はできません。
損益通算
マイホームを売って赤字になる(購入した金額より売却した金額の方が少ない)こともあります。売却した金額では残った住宅ローンを完済できない、また損は出たが新たに住宅ローンを組んで新しいマイホームを購入する場合などです。こうしたケースを救済するのが、「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」です。
この特例を受けると、売却の損失と他の取得との間で損益通算ができます。損益通算とは、ある所得で損失が出たとき、他の所得からその損失を差し引くことです。その分課税対象となる所得金額が抑えられ、税金を少なくできます。さらに、その年の所得から引ききれなかった損失金額があれば、翌年以降に繰り越して、その年の所得から差し引くことができます。繰越期間は最長3年間です。
スムーズな不動産売却の為にしっかり諸費用を把握しよう
不動産売却といってもさまざまな諸費用がかかり、しっかりとした資金計画を立てる必要性があります。
また高く売れると当然利益が大きくなり、費用の支払いも楽になります。