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空き家売却の方法と流れ│特例・費用・不動産会社の選び方も解説

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空き家売却の方法と流れ│特例・費用・不動産会社の選び方も解説

カテゴリ:売却

1.空き家を売却するメリット

空き家を売って手放すためには時間も費用もかかります。しかし、空き家を売却することで得られるメリットは少なくありません。
主に3点ありますので、順番に見ていきましょう。

1-1.維持費の負担がなくなる

空き家を売却すると維持費の負担がなくなる点がメリットです。

維持費の負担がなくなる 空き家で困っている点アンケート結果

1-2.管理の負担が減る

1-3.近隣への迷惑がなくなる

  • 地域景観の悪化
  • 害虫の発生、野良猫・野良犬などの集中、不法投棄などによる生活環境の変化
  • 雑草の繁茂、落ち葉の飛散、植栽の越境
  • 建物や屏等の倒壊、屋根材・外壁材等の飛散・落下
  • 隣接地への草の浸入や樹枝の越境
  • 火災の発生
  • 犯罪の発生・誘発
  • 不審者の不法滞在
  • ポスト(郵便受け)の悪用

2.空き家を売却する4つの方法

2-1.そのままの状態で売る

空き家の最もおススメの売り方は、そのままの状態で売るという方法です。
そのままの状態で売れば、取り壊し費用も負担することなく売ることができます。

そのまま売る場合、信頼のおける不動産会社を探すことが一番のポイントとなります。

空き家は状態によって不動産会社にとっても売却が難しい案件ですので、地域に実績があったり経験豊富な不動産会社に依頼しないとスムーズに売却することが難しくなります。

2-2.取り壊してから売る

空き家の売却では、取り壊してから売るという方法もあります。
建物は古くても利用価値のあるものであれば、基本的には取り壊しは不要です。
一方で、買主が購入後、住めないような建物は売主側で取り壊した方が格段に売りやすくなります。

取り壊し費用に関しては、構造別の坪単価は以下のような水準となります。

構造坪単価
木造坪4~5万円
鉄骨造坪6~7万円
鉄筋コンクリート造坪7~8万円

戸建ての延床面積は35坪前後の建物が標準的な大きさです。
木造の解体費用は坪4~5万円程度ですので、総額としては150万円前後となります。

ただし、家の解体費用の相場は年々値上がりの傾向があります。解体会社には必ず事前に見積もりの確認をとるようにしましょう。

2-3.買取を利用して売る

空き家の売却では、買取を利用して売る方法もあります。
買取とは、転売を目的とした不動産会社への売却のことです。

不動産会社は転売益を確保するため、市場の価格よりも2割程度安い金額で購入することになります。
よって、買取は売却価格が安くなってしまう点がデメリットです。

しかしながら、取り壊しが必要な建物で、かつ、取り壊し費用が捻出できないようなときは、買取を選択する価値はあります。

取り壊しが必要な建物は、よほど良い立地の物件でない限り、買主側で取り壊し費用を負担してまで購入するような個人の買主は少ないです。
個人の買主に対して建物を壊さずに売却するのは、実際にはかなり難しくなります。

一方で、買取を行う不動産会社に対してなら建物を壊さずに売ることは可能です。
「転売益」と「取壊し相当額」も併せて差し引かれるため、価格は相当に安くなりますが。すぐに売ることができます。

維持費の負担から解放される等のメリットを考えれば、安くても買取を検討してみる価値はあるでしょう。

2-4.空き家バンクを利用して売る

空き家は空き家バンクを利用して売る方法もあります。
空き家バンクとは、自治体が行っている売却の情報サイトのことになります。

空き家バンクを利用するメリットとしては、不動産会社が取り扱ってくれないような物件でも売り物件として掲載できるという点です。

例えば、「家財道具が残ったままの状態の物件」や、「すぐに売るつもりはない物件」等も載せることができます。

空き家を倉庫として使っており、片付けられず、なかなか本腰を入れて売却活動に移行できないようなケースでは、空き家バンクを利用してみる価値はあります。


3.空き家売却の流れ

相続した空き家を売却する場合などは、「不動産の売却が初めて」という方も多くいらっしゃいます。
この章では、空き家売却の流れを紹介しますので、ステップをひとつずつ見ていきましょう。

まず、全体の流れは下図の通りです。

空き家売却の流れ

3-1.価格査定

空き家の売却では、最初に価格査定を行います。
査定とは、3ヶ月程度で売却できるとされる価格を出すことです。
中古の不動産はいくらで売れば良いのか分からないため、適正な売り出し価格を設定するために査定を行います。
査定価格は不動産会社の意見価格になるため、不動産会社を変えると査定価格も変わります。
空き家を適正価格でよりスムーズに売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、よく話を聞いてくれる営業マンを見つけることがポイントです。

3-2.媒介契約の締結

媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
売却を依頼したい不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。

3-3.売却活動の開始

媒介契約を締結したら、いよいよ売却活動の開始です。
中古住宅の売却では、売却活動を開始してから売買契約の締結まで3ヶ月程度かかることが一般的です。
ただし、古い空き家などの売りにくい不動産を売る場合には、売却期間が3ヶ月以上かかることもあります。
そのため、空き家を売却するのであれば、スケジュールに余裕をもって取り組むことがポイントです。

3-4.売買契約の締結

買主が見つかったら、売買契約の締結を行います。
売買契約の締結時は、買主から手付金を受領することが一般的です。
手付金の相場は売買代金の10%となります。
特に問題が発生しなければ、手付金はそのまま売却代金の一部に充当されることになります。

なお、売買契約時と家の引き渡しの際には、住民票や銀行口座の通帳が必要になることがあります。

3-5.引渡(残代金受領)

不動産の売買では、売買契約から引渡まで1~2ヶ月程度の時間を空けることが一般的です。
引渡では、手付金以外の残代金を受領します。
売主からは、空き家の鍵や所有権移転に必要な書類等を引渡して、売買は全て終了です。

3-6.確定申告

空き家の売却によって、税金が発生する場合は、売却した翌年の2/16~3/15の間に(年により変動あり)確定申告を行います。
確定申告は、節税のための特例を利用する場合でも必要です。

4.空き家売却時の不動産会社の選び方

不動産売却を成功させるために、信頼できる不動産会社選びは不可欠です。不動産会社の担当者の経験値や物件との相性によって、空き家売却のスピードや売却額に影響がでることもあります。

この章では、どのタイミングで不動産会社とコンタクトをとるべきか、まやた、信頼できる会社はどうやって選ぶか、それぞれ解説します。


4-1.不動産会社を選ぶタイミング

不動産会社を選ぶタイミングは、主に以下の2つです。

①空き家の査定

不動産査定には「机上(簡易)査定」と「訪問査定」があります。どちらの査定も不動産会社に依頼します。

机上査定とは、建物や土地の平米数や築年数など一定の情報を不動産会社に提供し、類似物件の売却実績などから相場を割り出します。訪問査定とは、不動産会社が実際に物件を訪れて調査し、査定額を算出します。

②媒介契約

媒介契約は、査定額や各不動産会社が提示する売却プランを鑑みて決定します。媒介契約とは、売り主と不動産会社の間で結ぶ、売買を仲介するための契約です。媒介契約は3種類あり、それぞれ仲介の条件が異なります。

4-2.最適な不動産会社を選ぶコツ

全国展開する大手から、地元に精通した中小企業まで、不動産会社にはそれぞれ特徴があります。

査定額は各社によって差が出ることが多く、また担当者との相性、各社が提案してくる売却案も異なるため、比較・検討してご自身にとってベストな不動産会社を選ぶことが大切になります

なお、大手と中小の不動産会社は共にメリット・デメリットがあります。

5.空き家売却にかかる費用

空き家を売却する際に「思ったより費用がかかった」と感じる方は少なくないでしょう。どのような費用がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。

■空き家の不動産売却にかかる主な費用

費用支払いタイミング各費用のめやす
1仲介手数料契約・引渡時に1/2ずつ( 売却額 × 3% + 6万円 )+ 消費税※400万を超える取引額の場合
2印紙代契約書類作成時1,000から6万円
※売却金額で異なる
3登記・抵当権抹消費用契約終了時に清算登記費用+司法書士への報酬支払い
4譲渡所得税ほか確定申告後保有期間・適用できる控除・売却額などにより異なる
5確定申告売却した翌年度譲渡利益があった場合
6測量費用売却前35万~80万程度
7家財道具の処分費引渡し前20~50万円程度(一軒家の場合)

表の仲介手数料は、400万円を超える金額で売却できた場合です。

取引額が200万越えで400万円以下の場合は「取引額の4%+2万円」、200万円以下の場合は「取引額の5%」の手数料がかかります。

また、400万円以下の取引では、「低廉な空き家の仲介手数料」として、報酬を最大18万円が追加される可能性もあるため注意しましょう

なお、測量費や家財道具の処分の費用は、依頼する会社によって変動します。一覧の価格はあくまで目安のため、事前に会社に確認するようにしましょう。

6.空き家売却の相場の調べ方

相場を知らずに売却してしまうと、その価格が安かった場合、あとから「しまった!」と後悔することになってしまいます。
ですので、少し手間はかかりますが、後悔を回避するなら事前にポータルサイト等で相場を調べておくのが賢明です。

7.空き家を売る際の3つの注意点

この章では、空き家を売る際の3つの注意点について解説します。

7-1.取り壊しの判断は査定を依頼して行う

空き家を取り壊すべきかどうかの判断は、査定を依頼してから行うことが注意点です。
古い空き家であっても、取り壊さずに売却できる物件はたくさんありますので、取り壊しは自分で判断をせず、査定を受ける際に不動産会社の意見を聞いてから判断することをおススメします。

取り壊し費用には150万円程度かかってしまうため、壊さなくても良い建物を壊してしまうと、大きな金額が無駄になってしまいます。
取り壊しの判断も、不動産会社によって異なることから、複数の不動産会社に話を聞くこともおすすめです。

7-2.家財道具等は撤去してから売る

空き家を売却するのであれば、家財道具等は撤去してから売ることが基本です。
不動産会社によっては、家財道具が残っている物件は、すぐに売れる状態の物件ではないと判断することがあるため、協力を得られないことがあります。

処分が大変な家財道具の撤去には、適切な業者様をご紹介致します。


7-3.取り壊しは1月1日以降に行う

取り壊して売る場合には、取り壊しは年末ギリギリには行わずに翌年1月1日以降に行うことがポイントです。

取り壊しは1月1日以降に行う

空き家でも土地の上に住宅が建っていると、住宅用地の軽減が適用され土地の固定資産税が安くなります。

土地の上に住宅が建っているという事実は1月1日の状態で判断されるため、1月1日に建物が残っているとその年は1年間住宅用地の軽減が適用されます。

1月1日以降に取り壊し、その年の12月31日までに売却してしまえば、土地の固定資産税を安くしたまま売却することが可能です。


8.空き家売却の税金の基礎知識

8-1.譲渡所得とは

不動産の売却では、譲渡所得がプラスになった場合に税金が発生し、マイナスになった場合には税金は発生しないことになっています。

譲渡所得とは、個人が不動産を売却したときに得られる所得のことで、以下の計算式で求められるものです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額は売却価額です。
取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税などの売却に直接要した費用です。

取得費に関しては、土地は購入額ですが建物は購入額から減価償却費を控除した価額であるため、式で表すと以下のようになります。

取得費 = 土地取得費 + 建物取得費
    = 土地購入価額 + (建物購入価額 - 減価償却費※)

※減価償却費は「建物購入価額×0.9×償却率×経過年数」で求められます。

減価償却費を求めるにあたり、経過年数とは購入から売却までの所有期間のことです。
また、償却率に関しては、建物の構造によって以下の数値を用います。

構造非事業用の償却率
木造0.031
木造モルタル0.034
鉄骨造(3mm以下)0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下)0.025
鉄骨造(4mm超)0.020
鉄筋コンクリート造0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造0.015

 

土地取得費や建物取得費がわからない場合には、概算取得費というものを用います。
概算取得費とは「譲渡価額の5%」です。

概算取得費を用いた場合の譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 概算取得費 - 譲渡費用
     = 譲渡価額 - 譲渡価額×5% - 譲渡費用

概算取得費を用いると譲渡所得が大きく計算されてしまうため、税金が高くなってしまいます。

そのため、空き家の売却では、購入時の売買契約書を探しだし、概算取得費を使わないようにすることが効果的な節税対策となります。

8-2.税金と税率

税金は譲渡所得に税率を乗じることで求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

税率は、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超のときは「長期譲渡所得」、1月1日時点において所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」という扱いになります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は以下の通りです。

所得の種類所有期間所得税率住民税率
短期譲渡所得5年以下30%9%
長期譲渡所得5年超15%5%

復興特別所得税の税率は、所得税に対して2.1%を乗じます。

相続物件の所有期間は、「親の所有期間を引き継ぐ」というのがルールです。
親の所有期間が5年超であれば、相続人が相続してから5年以下で売却したとしても長期譲渡所得となります。

9. 空き家売却時に利用できる特別控除(特例) 

空き家売却で税金が生じた場合、できれば節税したいですよね。
この章では、空き家売却の譲渡所得の特別控除を利用した税金対策について解説します。

9-1.マイホームの空き家を売ったときの軽減税率の特例

8-2.税金と税率」で解説した通り、マイホームを5年を超えて長期所得していると譲渡諸所得税の税率が下がります。

マイホームであった家を売却した際、一定の条件を満たすことで、さらに軽減税率の特例を受けられる可能性があります。

マイホーム(居住用財産)を売ったときの軽減税率の特例要件は、以下の通りです。

  • 空き家の状態になった日から3年後の年末までに売却する
  • 売った年の1月1日時点で、家の所有期間が10年を超えている
  • 親子や夫婦などの、特別な関係性がある人への売却ではないなど

軽減税率の計算(概算)は、国税庁のホームページでシミュレーションすることができるので、確認してみましょう。

9-2. 相続した空き家を売ったときの3,000万円の特別控除(特例) 

相続で引き継いだ空き家のうち、一定の要件を満たすものは相続空き家の3,000万円特別控除を利用することができます。

相続空き家の3,000万円特別控除も、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

相続空き家の3,000万円特別控除は、マイホーム空き家の3,000万円特別控除とは異なり、要件が非常に厳しいため、適用できるケースは稀です。

主な要件としては以下のものがあります。

  • 相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • マンション以外の建物であること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家であること
  • 家屋を取り壊さずに売る場合、売却時において、その家屋が現行の耐震基準を満たしていること

相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、「昭和56年5月31日以前に建築された家であること」が必要ですが、同時に「その家屋が現行の耐震基準を満たしていること」が必要です。

昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、旧耐震基準の時代に建てられた建物であり現行の耐震基準を満たしていないことが一般的です。

そのため、家屋を取り壊さずに売る場合には、わざわざ耐震リフォームをしなければいけないことになります。

一方で、昭和56年5月31日以前に建築された家であっても、取り壊して売却する場合には、相続空き家の3,000万円特別控除を利用できます。

よって、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、「耐震リフォームして売る」か、もしくは「取り壊してから売る」の2つから選ぶことが必要です。

相続空き家の3,000万円特別控除

耐震リフォームの費用は、500万円程度が相場となります。
一方で、取り壊し費用は、150万円程度が相場です。
そのため、相続空き家の3,000万円特別控除を利用する場合には、耐震リフォームよりも取壊して売却する方が経済的な負担は軽くなります。

その他として、相続してから空き家を一度でも他人に貸してしまうと、相続空き家の3,000万円特別控除は利用できない等の細かい要件もあります。

相続空き家の3,000万円特別控除が利用できそうな人は、空き家を誰かに貸すような活用はしないようにすることが注意点です。


9-3.低未利用土地等の100万円特別控除

空き家の売却では、低未利用土地等の100万円特別控除が利用できる可能性があります。
名称の中に「低未利用土地等」という言葉が含まれていますが、「等」ですので土地だけでなく空き家にも適用できる特例です。

低未利用土地等の100万円特別控除を適用した場合の譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 100万円

低未利用土地等の100万円特別控除を適用するには、以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 譲渡した者が個人であること。
  2. 譲渡の年の1月1日において、所有期間が5年を超えること。
  3. 譲渡価額の合計が500万円以内であること。
  4. 譲渡した物件が都市計画区域内にあること。
  5. 譲渡した物件が「低未利用土地等であること」および「譲渡後の土地等の利用」について市区町村長の確認がなされたものであること。

主な要件としては、「譲渡価額の合計が500万円以内であること」と「物件が都市計画区域内にあること」の2点です。

「所有期間が5年超」ということは必要ですが、いつまでに売却しなければならないといった要件はありません。
長期間放置されている空き家にも適用することが可能です。

低未利用土地等の100万円特別控除は、相続空き家の3,000万円特別控除と比べるとかなり利用しやすくなっています。

マイホームや相続空き家の3,000万円特別控除の要件から外れてしまっており、なおかつ売却価格が500万円以下の場合には、低未利用土地等の100万円特別控除を検討することをおススメします。


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