空き家の売却に関する不安を解消!
空き家の増加が社会的課題の1つとして取り上げられている昨今。管理費や税金などの維持費を捻出して支払いながら、相続した実家を管理している人もいるのではないでしょうか?
空き家は持っているだけで負担の大きい不動産です。倒壊リスクが心理的負担になるうえに、管理費用や固定資産税の支払いなどが経済的負担となって、重くのしかかる感覚があるかもしれません。空き家を売却したいと考えているものの、「売るにも費用や税金がかかりそう」「面倒な手続きが多そう」となかなか売却に踏み出せない人もいることでしょう。
今回は空き家を売却したいけど、売却にかかる諸費用に不安がある人のために、実際にいくらくらい費用がかかるのかを解説します。併せて、コストを抑えるコツと納得できる売却を行うための方法と流れもお伝えします。
空き家の売却にかかる費用と税金
空き家を売却する過程で発生する費用は、不動産売買をするときの大きな関心ごとの1つですよね。まず、空き家の売却にかかる費用と税金について説明します。
空き家の売却にかかる費用
空き家を売却する際に売主が負担する費用は、主に仲介手数料と解体費用です。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に空き家の売却を依頼し、売却が成立した際に不動産会社に支払う成果報酬です。上限金額については、宅地建物取引業法で以下のように定められています。
弊社では、お客様の負担を少しでも軽くするために、仲介手数料50%オフでご案内しております。
なお、仲介する空き家の取引額が400万円以下の場合、「空家等の売買又は交換の媒介における特例」として、不動産会社は仲介手数料のほかに調査費をはじめとする必要経費を、18万円を上限に売主に請求することができます。
解体費用
空き家を解体し更地にしてから売却する場合、解体工事の費用がかかります。戸建に多い木造建築の場合は、1坪当たり3~6万円程度が相場です。解体費用は、主に建物の種類によって決まりますが、立地条件や老朽化の度合い、業者によっても異なります。まずは、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討して選ぶとよいでしょう。
空き家の売却にかかる税金
空き家を売却した際にかかる税金は主に、譲渡所得税、相続登記費用、印紙税の3つです。
譲渡所得税
空き家を売却して得た利益にかかる税金で、譲渡所得税とは所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。
税額は利益に税率をかけて算出します。税率は空き家の所有期間によって異なり、以下のように定められています。
なお、不動産の保有期間が5年以下で売価して得た売却額は、「短期譲渡所得」、保有期間5年を超える場合は「長期譲渡所得」と呼ばれます。以上の表を見れば、長期譲渡所得にかかる税率のほうが安いことが分かりますね。
相続登記費用
相続した不動産を売却する場合は、相続登記を行う過程で、申請書類の取得費、登録免許税、司法書士への依頼費用がかかります。相続登記とは、法務局に申請して不動産の名義変更を行うことです。相続登記を行うことで、初めて自分の不動産として扱うことができるようになるため、相続した空き家を売却するには相続登記が必要です。
登録免許税について、場合によっては免税措置も設けられています。詳しくは国税庁ホームページをご参照ください。
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書を含む課税文書を作成する際に課せられる国税です。空き家を売却する価格に応じて税額が定められています。2022年3月31日までの間に作成された契約書は租税特別措置法による軽減措置の対象となります。軽減措置を受けた際の金額は以下の通りです。
費用と税金を抑える対策
空き家の売却にかかる費用は極力抑えたいものですよね。ここでは、税金を抑える方法と自分でできる節約術をお伝えします。
コストカットに役立つ公的制度
一定の要件を満たせば適用される空き家の売却時に使える相続控除や補助金をご紹介します。なお、以下の特例を受けて税金対策を行うには確定申告が必須です。
相続した空き家の3000万円特別控除
親をはじめとした被相続人から取得した相続不動産を売る際に利用可能な特別控除です。空き家をそのまま売却して売却益が出た場合に、一定の要件を満たせば、譲渡所得のうち3000万円までは税金が控除されます。
相続した空き家の取得費加算の特例
相続や遺贈により取得した空き家を売却した場合、譲渡所得の計算に使う「取得費」に支払った相続税の一部を加算できる特例です。この特例を利用するには、相続税の申告期限の翌日から3年が経つまでに譲渡している必要があります。
10年超所有軽減税率の特例
空き家を売却した場合、売却した年の1月1日時点で10年を超える所有であれば、住民税を始めとする譲渡所得税の税率が安くなる特例です。
更地にした土地にこの特例を適用するためには、家屋を解体した日から1年以内に契約が締結され、かつ、住まなくなった日から3年が経つ年の12月31日までに売却している必要があります。
空き家解体の補助金
個人が空き家を解体する際には、全国の地方自治体が設けている空き家の解体に対する補助金が利用できる場合があります。補助金を受け取るための条件や補助金の金額、計算方法は自治体ごとに異なります。自治体のサイトや窓口で確認するようにしましょう。
自分でできる工夫
空き家の売却にかかる費用を抑えるために、自分でできることもあります。売却する際の節約術をご紹介しましょう。
リフォームせずに売却する
売却前に空き家のリフォームを行わない、という選択を取ることで、リフォームにかかる費用を抑えることができます。リフォームにかかる費用は、老朽化の度合いや工事内容によりますが、家全体をリフォームするとなると、戸建てでは500~2000万円ほどかかります。
リフォーム済みの物件を高値で購入するより、安く買って、自分の趣味に合わせてリフォームをしたいというニーズはあります。売却前にあえてリフォームを行わないということは、コストカットにもつながりますし、リフォームを待たずに売却活動ができるので、早く買い手が見つかる可能性も高まります。
不用品は自分で処分する
不用品はできるだけ自分で処分することで、処分費用を節約できます。たとえば、布団、衣類、食品などは「家庭ごみ」として自分で処分することをおすすめします。これらの処分を解体業者に依頼すると、「家庭ごみ」ではなく「産業廃棄物」としての処分になるため、布団の処分に2000円程度、衣類や食品の処分では1袋500円~700円程度かかります。
まだ使用可能なエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品については、リサイクルという選択肢があります。各小売業者が設定する収集・運搬費用とメーカーごとに異なるリサイクル料金を支払うことで、不要になった家電を引き取ってもらえますよ。
空き家の売却方法は3種類
空き家を売却する際の費用や税金の説明に続き、空き家の売却方法についてお伝えします。
空き家を売却する方法は大きく分けて3つあります。そのまま売却する方法、更地にしてから売却する方法、不動産会社に買い取ってもらう方法です。それぞれどんなときにおすすめなのか、またどんなメリットと注意点があるのか、順に見ていきましょう。
[ 1 ] そのまま売却する
家を解体せずに「中古住宅」、もしくは「古家付き土地」として売却する方法です。明確な決まりがあるわけではありませんが、建物の価値を分ける築20年を目安に、築20年以内なら「中古住宅」、築20年以上が経過しているのなら「古家付き土地」として販売するのがよいでしょう。
メリット
中古物件は土地と新築物件を購入するより安く手に入れられるため、新築で家を建てる費用が足りない人からのニーズがあります。
中古物件は、購入者が自由にリフォームできる点にも魅力があります。ライフスタイルや働き方が多様化し、自分好みの間取りや内装にリフォームしたい人からのニーズが期待できます。
また、そのまま売却すれば、売主が空き家を解体し整地する必要がないため、売却にかける費用や手間を省くことができます。
注意点
築年数や建物の老朽化の具合によっては需要の低さが理由で、なかなか売れない可能性があります。売却活動中に損壊したり劣化が進んだりしないよう、売れるまでの期間、管理に注意するようにしましょう。
[ 2 ] 更地にして売却する
2つ目は、空き家を解体して更地にしてから売却する方法です。建物の老朽化が進んでいて、倒壊の恐れがある場合や、リフォームやリノベーションに多額の費用がかかる場合におすすめです。解体費用は発生するものの、解体費用を売却価格に上乗せすることが可能ですよ。
メリット
更地にするメリットは、古家付き土地として売却するより早く買い手が付く可能性が高い点にあります。更地として売却するケースでは、購入後に買主が解体費用を負担する必要はありません。
また、激しく老朽化が進み、草木が伸び放題になっている物件が、買い手に魅力的に映る可能性は低いでしょう。これらのことから、古家付き土地として売却するより更地にしたほうが、早く売れる可能性が高まります。
注意点
更地として売るためには、売主自身が空き家を解体し整地する必要があるため、それだけ売却にかかる費用が高くなります。
また、更地にすると建物付きの場合と比較して固定資産税や都市計画税が高額になります。建物がある場合の固定資産税や都市計画税は減税措置の対象です。しかし、建物を解体してしまうと減税措置の対象でなくなってしまうため、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍に上がります。
[ 3 ] 買い取りを依頼する
空き家を不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。買い取りは、とにかく早く売りたい人におすすめです。「現金化して複数人いる相続人に分配したい」「特別控除が受けられる期限内に売りたい」という人は、買い取りを検討するとよいでしょう。
メリット
買い取りのメリットは、現金化するまでのスピード感にあります。一般的な不動産売却の場合、仲介売却だと買い手が現れるまでに数か月から半年、時には1年ほどかかることもありますが、買い取りなら、買取査定を受けて業者との売買契約を交わせば、早くて数日で物件を現金化することができます。
注意点
ただし、買取価格が市場価格より安くなる点に注意が必要です。なるべく多くの不動産会社の査定を受け、比較検討してから業者を選ぶようにしましょう。
空き家売却の流れ4ステップ
次に、空き家を解体せずに売却する場合の手順を見ていきましょう。
[ 1 ] 査定を行う
空き家を売却するときは、まず不動産会社に査定を依頼し、売却したい空き家の売り出し価格の目安をつかむことから始めます。査定依頼は複数の不動産会社に行い、各社の査定額や対応を比較するようにしましょう。ネットでは1回の申し込みで、簡単に行う査定(簡易査定)を複数の会社に依頼できる便利な一括査定の方法もありますよ。
複数社の「簡単査定」の結果を比較して数社に絞り込んだら、実際に現地で空き家を査定してもらう「訪問査定」を受けましょう。「訪問査定」では、「簡易査定」に比べて、より精度の高い査定額を出してもらうことが可能です。より高い査定額を出してもらうために、担当者が物件を見に来る前には、片付けや掃除を念入りに行っておくとよいでしょう。
[ 2 ] 仲介会社を決める
査定を依頼した不動産会社のなかから信頼のできる会社を選び、売買を仲介してもらうための媒介契約を結びます。仲介会社を決める際は査定額だけで判断せず、その会社の売却実績や対応のスピード感、営業担当者の人柄や知識量なども考慮して判断するようにしましょう。
不動産会社と媒介契約を結んだら、空き家の売却のための売り出し価格を決めます。ここで価格設定を誤ると、相場より安値で売却されてしまったり、高過ぎてなかなか買い手が見つからなかったりする恐れがあるので、売り出し価格は不動産会社と相談しながら慎重に決めましょう。
なお、媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれの特徴を踏まえて、契約形態を決定しましょう。
不動産会社と相談して物件の売り出し価格を決めたら、売却活動が始まります。不動産会社からの営業によって、購入希望者が現れたら、実際の売却金額や引渡しのタイミングについて交渉の場が設けられます。
購入希望者はできるだけ安く買いたいと考えているため、多くの場合値引き交渉が行われるでしょう。真摯に対応しつつ、売却金額が希望価格に近づくよう交渉を進めていきましょう。
[ 4 ] 売買契約、引渡し
交渉が成立したら、不動産会社の指導のもと、契約書の作成を行います。全ての書類がそろい、手続きを終え次第、鍵を渡して引渡しの完了となります。
プロのアドバイスを聞いて売却を進めよう!
空き家の売却をスムーズに進めながら、しかも費用を抑えるには、専門家である不動産会社に頼ることをおすすめします。空き家の状態に最も適した売却方法を提案してもらえるうえに、損をしないように可能な限り高く売る方法も考えてくれますよ。売却代金が高ければ、コストの節約にもつながります。
信頼できる不動産会社を見つけるには、まず不動産の査定を試してみるとよいでしょう。複数の不動産会社に当たって、査定額を比較検討したり、相手の対応を見たりしながら、頼れそうな1社を見極めます。
空き家は放置していると負担が増え続けますから、今後住む予定がないのなら、なるべく早めに信頼できる不動産会社を見つけて、売却への一歩を踏み出してくださいね!