空き家維持の限界から売却へ
亡くなる前にお父さんが「高松の家を守ってくれ」と言い残されたため、松本さんがそれをほぼ遺言のように思い、維持をされてきたとのこと。
そもそも、東京から高松への飛行機の移動になりますので、それだけでもさぞ大変だったことと思います。
松本さんは、たびたび帰省し掃除などをされていましたが、維持費もかさみ、「もう50歳になりましたし、通うのもキツい」と、体力的にも、状況に限界を感じて売却を決意されたといいます。
空き家の維持費用はトータル1800万円
築45年5DKの物件にリフォームを行ったため、そのリフォーム費用が620万円、そして東京から通う交通費、水道代など、空き家を25年間維持するための費用は、総額で1800万円だそうです。
タレントさんと言えばそれまでですが、あまりにも高額ではないでしょうか。
2千万円があれば、地方なら新築も可能な金額です。
一般人の生活では、単に家の維持のためだけには難しい金額です。
空き家買取の査定金額はたった200万円!?
松本さんがご出演された番組の中で明かされた事実では、地元高松市の不動産業者に買い取り額として査定を受けたところ、その時の金額は僅か200万円ということでした。
あまりにも安い価格に松本さんはびっくりされたようです。
周辺の相場は坪5万円としてそれよりはるかに安くなるのは、追加のリフォームに300万円かかるため、と業者の説明でした。
空き家バンクに登録
200万円では、維持費1800万円を到底チャラするには至りません。
結局、買い取りをあきらめた松本さんは、高松市の空き家バンクに登録しました。
そこで最終的に売却が決まりました。
売れるまでの日数がどのくらいかかったのかはわかりませんが、最初の査定から7か月後ですので比較的短期であったと思われます。
空き家売却の価格の推移
当初の松本さん側の売却希望額は680万円でした。不動産業者から購入希望、つまり買取の申し出があったようで、その時の金額は335万円でした。
そしてその後、高齢者のご夫婦が640万円での購入を希望したので、最終的にその金額で売
却の話がまとまったということです。
なんと、最初の200万円と3倍以上の差があります。
地方の売れない空き家を売る大変さ
四国は不動産状況が悪い方の地域で、売るのも難しいようなところがたくさんあります。
空き家バンクで買い手が見つかるのはよい方です。また見つかるまでにも数年かかったという話もよく聞きます。
希望者があって売れたというところを見ると、松本さんの実家は元々土地の立地等の条件が良かったのだろうと思います。
空き家売却の価格について
坪5万が相場ということなので、それ自体がそもそもかなり安いといえば安いです。
2000万円の家の査定が200万円と言われて、松本さんはかなり驚いたようですが、地方の買取だとそれもありだと思います。
空き家バンクを積極的に利用する
必ず成功するとは限りませんが、この場合は空き家バンクが最大限に功を奏した例だと思います。
空き家バンクのあるところは、これは自治体の管理するところですから迷わずに登録するのがいいと思います。買い手がつけばラッキーです。
とにかく、土地も空き家も短期に成約すれば何の苦労もないわけです。
成約しない場合の維持費と手間に加えて、その間の思案と売れないのではないかという心労が案外大変です。
売るためには家は残した方がいい?
松本さんの場合を見ても、住める状態の家ならば、修繕の必要なところがあっても家があった方がいいです。
更地だとそこに家を建てて利用するとなったら1千万円弱はかかってしまう。
家さえあればリフォームに最低でも数百万円程度かければ何とか住めます。
中古物件を買いたいという人は、こぎれいで高い家よりは古くても安い物件を探しているのです。
そして松本さんの場合は、その前に620万円をかけてリフォームをしていますから比較的良い状態であったのでしょう。そのためもあって「高額」で売れたのではないでしょうか。
空き家売却前のリフォームは必要か
売却前の家をリフォームした方が高く売れるのか。
これも何とも言えないです。古い家であっても、その分を安くして「現況のまま」という方法もあります。
売れるところであれば、リフォームをしてもいいですが、売れなければ誰も住まない家にお金をかけただけになってしまいます。
地域の相場やニーズを良く知る不動産業者に相談の上、リフォームを検討するのが良いと思われます。
部屋は買い手の好みも
居間やその他の部屋の内装、間取に関わる部分は、これは好みの問題もありますのでお金をかけてリフォームしたからと言って、買う人が必ずしも気に入るかどうかはわからない。
その場合はこちらであらかじめリフォームなどをせずに、買い手側のリフォーム前提で価格が安い方が好まれるでしょう。
空き家の解体は?
解体についても同様で、家の損傷がひどい場合でもとりあえず建物を置いておき売却が決まったら解体するという契約で、解体を終えて引き渡すという方法もあります。
ただし、空き家特措法ができると強制的に自治体が解体をする例もあります。
老朽化が進む場合は、トラブル防止のためにも空き家の解体が勧められます。
「家を守れ」親の"遺言"は聞くべきか
松本さんの場合には、お父さんから「家を守れ」という遺言がありました。
身内としては聞いてあげたいと思いますし、自分の育った家でもあれば手放したくない気持ちはわかります。
しかし、松本さんはお仕事をされている人だから費用をかけて維持が出来ましたが、一般の人が親にもらった家を1800万かけて維持するなどは、通常はとてもできることではありません。
仮にぼろぼろになって放置というのでは、遺言の意を満たすものではないでしょう。
生前に空き家について親と話し合う
その土地に家をもらって住みたいというのでなければ、まず、親が生きているうちに意向を伝えて話し合いをするべきです。
松本さんの場合でしたら、親の死後にすぐ売ったとしても10年のロスは避けられ、その上1800万円マイナスにならずに済んだのです。
高齢親は現況を知らない
「遺言」をする親の方は家を残したいといっても、不動産状況が当時とは違うということを知らないことが大半です。
松本さんも、松本さんのお父さんも、あらかじめ「維持費が1800万円かかる」ということを知っていたら、果たしてどう考えられたでしょうか。
これからはそういう想定も必要になってくるということは、憶えておいたほうがよさそうです。
資産を守るのは子の役目
そして何よりも、家は親の財産なので子供が儲かる儲からないではなくて、子供が生前に家族信託を結んででも、生前から親の資産が価値あるうちに守るということが重要です。
特に高齢になってくるとお金に疎くなりますので、金銭の管理をすることは子供の役目でもあるのです。
たとえば、金利が1円しかつかない銀行と、100円つく銀行があると知っているとしたら、1円の銀行にお金を預けたままにする人はいません。
その上で、お金よりも家は売りたくないという場合はそれは個人の自由なので、親子の意見が合う限り維持すればいいのです。
まとめ
土地は売るならお金に変わるうちに売りましょう。そしてできるだけ高く売れる間に売りましょう。
資産価値がゼロになってから売りに出すというのは、いちばんもったいない方法で、売るということが見えているなら早く売らなければ売る意味がなくなります。
「売る」というのは、土地がお金に変わって初めて「売った」ということになるのです。
そしてもう一度言うと、松本さんのように家が「売れた」というのは、地方においてはうらやましい方の事例なのです。
これからますます、空き家の売却は難しくなります。早ければ早いほど高く売れる可能性は”大”といえます。
まずは、空き家の価格を早めに査定してもらい、高額の売却につなげましょう。