周辺環境とのミスマッチを防ぐ方法
新しく購入する住まいで長く快適に暮らすためには、その住まいの立地環境が買主様の生活スタイルに合っていることが重要です。
今回は住まいの周辺環境を調べるコツをご紹介します。
自分の目で周辺環境を見る大切さ
住まいの周辺環境は建物と同じぐらい重要です。
しかし、多くの人は一戸建てやマンションを購入するとき、建物の構造や設備にばかり目を向けてしまいます。
その結果、購入後に「失敗した」と後悔してしまうのが、周辺環境や立地条件なのです。
建物の内装や間取りはお金さえかければ変えることができますが、周辺環境や立地はそうはいきません。
実際の立地とは違うモデルルームを公開している新築分譲マンションなどでは特に、周辺環境を自分の目で見て確認することが不可欠です。
住まいの購入代金には土地や建物の金額だけでなく、周辺環境や立地という価値も含まれているのです。
●生活に必要な施設
スーパーマーケットや商店街など、毎日の生活に必要な施設については、どのような買主様でも1度は確認するものです。
日常の買い物に車や自転車を使う買主様は、住まいからお店までの道のりを実際に走ってみるとよいでしょう。 レストランやカフェ、パン屋さんなど休日に利用することが多い施設もチェックしたいところです。
●日照・風通し
特に都市部の場合、住まいの周辺にどのような建物があるかによって日当たりが変わってきます。
一戸建てやマンションの南側にどのような建物があり、どれくらいの距離が離れているのかを見ておきましょう。
家の南側が広く開けているからといって、安心はできません。
時間貸しの駐車場や高さの低い工場などが取り壊され、高い建物が建つ可能性も十分に考えられます。
購入を検討している一戸建て・マンションの周辺の開発計画や用途地域などについて、仲介の不動産会社の担当者やモデルルームの営業担当者にぜひ確認してください。
●交通事情
電車で通勤・通学する予定なら、物件から駅までのルートをたどってみましょう。
ルート上に商業施設が充実していれば、日常生活で買い物の手間が省けます。
毎日歩く道の人通りも要チェックです。帰宅が遅くなるなら、街灯や24時間営業の店舗の存在が気になります。
車で通勤する場合、通勤時間帯の道路状況を見ておく必要があります。
物件を見学するのが土日や祝日なら、面倒でも平日に時間を取って現地に足を運び、通行量や渋滞の状況を確認することをお勧めします。
●騒音
住まいが交通量の多い道路に面していたり、近くに高速道路が通っていたりすると、騒音が気になるかもしれません。
最近では自動車の排気ガスがクリーンになったため、以前ほどは空気の汚れを気にする方は少なくなりましたが、それでも道路沿いではチリやホコリが舞いやすいため洗濯物を干す場所に困ることもあります。 騒音の原因になり得る施設としては、工場、遊興施設、飛行場などがあります。
買主様によっては幼・保育園や学校の近くを避けたいという方もいます。
「住んでみてはじめてわかった」ということがないように、周辺環境を事前にしっかりとリサーチしましょう。
●現地確認は曜日や時間帯を変えて
一戸建てやマンションを購入する前に現地確認をするときは、平日と休日、昼と夜など曜日と時間帯を変えて行うのがベストです。
平日は仕事をしている買主様の場合、平日の昼間に現地に行くことは難しいかもしれません。
それでも、平日に家で過ごすご家族や小さな子どもがいる場合、チャンスを見つけて平日の現地確認をおすすめします。
土日には稼働していない工場の操業音が家まで響いてくるかもしれません。また、平日の夕方になると近くの車の通行量が急激に増え、子どもが安心して歩ける環境ではなくなってしまうかもしれません。
休日のみ問題になる環境としては、大型スポーツ施設や娯楽施設を利用する人たちの車で週末のたびに渋滞がおきたり、住宅街に違法駐車が目立ったりする恐れもあります。
昼間はそれほどでもなかった騒音が夜になって気になる例としては、少し離れた場所を通る電車の走行音や、高速道路を走る深夜便のトラックの音などがあります。
新しく購入する住まいで長く快適に暮らすという、何物にも代えがたい価値のため、曜日や時間帯を変えた現地確認をできるだけ行うようにしましょう。
●Googleマップや住宅地図でも確認
参考程度ではあるものの、誰でも利用できるGoogleマップを使って周辺の建物の密集具合いや、嫌悪施設の有無をチェックできます。
また、不動産のプロが使う住宅地図からも必要な情報を読み取ることができます。
区画整備の状態や生活道路の状況などについて、不動産会社の担当者と一緒に調べてみましょう。住宅地図は一般の地図よりも高価ではありますが、書店などで購入できます。
また、Googleマップや住宅地図を活用することで、不動産の広告ではわかりにくい嫌悪施設の存在を確認できます。嫌悪施設とは墓地や火葬場、ごみ処理施設など、社会的に必要な施設でありながら、地域にとっては不都合とされる施設のことです。
用途地域で将来の街並みを想像する
●建物の用途を制限する用途地域
住宅やお店、工場など用途の異なる建物が混在して建っていると、互いに悪影響を与えます。同じような用途の建物が集まって建てられれば、生活環境や業務環境を共有しやすくなります。
そこで、都市計画では、住宅地、商業地、工業地など、市街地の性格を方向づける「用途地域」が定められています。 都市計画法には12種類の用途地域が用意されています。
それぞれの用途地域で建てられる建物は、建築基準法で決められています。 例えば、「第1種低層住宅専用地域」は低層住宅のための地域ですが、小規模なお店や事務所を兼ねた住宅、小中学校などが建てられます。
●用途地域を知れば将来の変化を予測できる
住まいの購入を検討するときには、現在の住み心地のよさだけではなく、まちの将来の変化も知りたいでしょう。
そのためには、市や町の役所に行き、購入を検討しているエリアの用途地域を尋ねてみましょう。
担当職員が丁寧に教えてくれます。
まち全体の都市計画を表した都市計画図の販売も役所で行っています。 隣地の用途地域や建設計画まで確認すれば、将来のまち並みがどう変化するのかが予測できます。
用途地域は快適な住まいを探すための重要な情報ですから、ぜひチェックしましょう。
担当者とのコミュニケーションがカギ
●最適な環境を提案してくれる存在
買主様の生活スタイルに合った環境の住まいを探すため、カギとなるのが不動産会社の担当者とのコミュニケーションです
不動産の話題に限らず、家族、仕事、趣味などについても気軽に話ができる関係性が買主様と担当者との間に築かれるのが理想です。
なぜなら、担当者はたわいもない会話の中から、買主様が住まいを探すことになった背景や潜在的な希望を知るからです。
そして、それらの事情を考慮した周辺環境にある住まいを探し、提案してくれるようになります。ときには、買主様本人ですら気付いていない「隠れた希望条件」を掘り起こしてくれることもあります。
例えば、週末は家族で買い物に出かける生活スタイルなら、担当者が大型ショッピングモールに近い物件を探してくれるかもしれません。
健康のために散歩を欠かさない買主様に対しては、自然環境や治安、道路の交通量などを総合的に判断して物件を紹介してくれるはずです。
まちの開発計画や人口動態、公共交通機関の利用状況まで調べてくれる不動産会社の担当者は頼もしい存在です。
●買主様の情報をきちんと伝えること
住宅の購入はプライバシーに関わるだけに、相談相手が見つからないという買主様もいるでしょう。
そのような方はぜひ、不動産会社の担当者を味方に付けましょう。
信頼できる担当者が見つかったら買主様の情報をきちんと伝え、担当者の話にも耳を傾けることです。家探しの希望が見つかったら問題点について担当者にきちんと伝えなかったり、担当者の話を一方的に聞くだけでは、良い人間関係は築けません。特に予算などの制約については、早めに伝えるようにしてください。
「知ったかぶり」もよくありません。不動産業界の専門用語など、わからないことはしっかりと聞きましょう。
真摯に向き合ってくれる買主様に対しては、よりよい情報を探し出し、真剣に説明したいと思うものです。
買主様に合った物件に出会うチャンスを広げるためにも、不動産会社の担当者とはより踏み込んだ話ができるようになりましょう。
購入を検討している一戸建て・マンションの周辺環境をチェックし、生活スタイルとのミスマッチを防ぐ方法をご紹介しました。
買主様の事情をよく知る担当者と二人三脚で現地確認や用途地域の確認などを進め、長く安心して暮らせる環境を見つけ出してください。