ネット銀行の住宅ローン メリット、デメリットは?どうしたら上手に活用できる?
カテゴリ:住宅ローン
2023-04-16
わざわざ銀行へ足を運ばなくても申し込みから契約まで完結してしまうネット銀行の住宅ローン。金利が低いなどのメリットがありますが、スムーズに利用できるか、なんとなく不安……という人も多いのでは?
この記事では、ネット銀行のメリットやデメリット、注意点などを解説したうえで、上手な活用方法を解説します。
ネット銀行とはどんな銀行?住宅ローンも借りられるの?
取引をネットで行う無店舗型の銀行
「ネット銀行(ネットバンク)」は、口座の開設や振り込みなどの取引をパソコンやスマホを使って行うことができる銀行。従来型の銀行のように店舗を置かずに営業している点が特徴です。
店舗がないため、現金を口座に入金したり、出金したりする際には提携している他行のATMを利用します。
ネット銀行では住宅ローンも借りられる
ネット銀行と従来型の銀行の違いは店舗の有無。預金や融資などの商品は、ネット銀行も従来型の銀行も大きな違いはありません。ネット銀行によって違いはありますが、定期預金や積み立て預金、外貨預金のほか投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)、火災保険や生命保険などさまざまな商品を扱うほか、「toto」などのスポーツくじや競馬の馬券、宝くじなどの購入も可能です。
もちろん、住宅ローンも借りることもできます。
新築/中古マンション、新築/中古一戸建ての購入のほか、注文住宅やリフォームの建築資金も借りることができます。また、【フラット35】や借り換えローン、建物竣工前に融資が実行されるつなぎ融資に対応しているネット銀行も多く、ローン商品の種類は従来型の銀行と大きな違いはないといえます。
ネット銀行の住宅ローン、メリットは?
メガバンクなどと比較して金利が低い
ネット銀行の住宅ローンの大きなメリットは低金利。メガバンクや地方銀行などと比較すると、借り入れ金利が低い傾向にあります。これは、店舗の維持費がかからないことや、窓口での対面相談がないためスタッフの人件費も抑えられることが理由。コストを抑えた分、住宅ローン金利を低くすることが可能なのです。
例えば、2020年12月のネット銀行の最低金利はジャパンネット銀行の変動金利型で、新規借り入れ、借り換え共に0.38%。
一方、メガバンクでは、三井住友銀行とみずほ銀行、三菱UFJ銀行が0.475%ですが、これは各銀行が設けている条件をクリアした場合の最低金利です。
手続きがラク!自宅で申し込みが完了
ネット銀行の場合、住宅ローンの申し込みから契約までの手続きがラク。パソコンやスマホで住宅ローンの申し込みができ、仮審査(事前審査)もネットでOK。
本審査に進むと書類(住民票の写しや本人確認書類、物件に関わる書類等)を用意したり、郵送したりする必要はありますが、ネット上でのやりとりは24時間いつでもできるため、銀行窓口の営業時間で手続きをするために仕事を休まなければならない、ということもありません。
また、対象地域が全国(一部離島を除く)なのもメリット。仕事で忙しい、気軽に行ける距離に銀行がなく何度も足を運ぶのは大変という人も、ネット銀行は利用しやすいでしょう。
繰り上げ返済手数料無料のほかにも諸費用面でメリット
低金利に加え、諸費用面でもメリットが多い点がネット銀行の特徴です。
繰り上げ返済手数料無料は従来型の銀行でも多くなっていますが、ネット銀行の場合、保証料無料のケースも多くあります。例えば、ジャパンネット銀行では一部繰り上げ返済手数料、保証料が無料のうえに印紙代も0円。
ソニー銀行は、変動金利型から固定金利型への金利変更手数料が無料です。同様のサービスを行っているネット銀行は他にもありますし、今後、新たなサービスが拡充される可能性もありますから、ネット銀行の利用を考えているなら、各社のホームページをこまめにチェックするのがおすすめです。
各ネット銀行独自のメリットをチェック
低金利や手数料無料などは、多くのネット銀行共通のメリットです。そのほかに、どのようなメリットがあるのでしょう。
ネット銀行によっては、他の銀行への振り込みに手数料がかからないなどの優遇が受けられることも。
また、ネット銀行の定期預金は金利が高め。
住宅ローンを利用することで定期預金金利がさらに上乗せされるなど、そのネット銀行をメインバンクとして利用することによるプラスアルファの特典もあります。
楽天銀行の場合は、住宅ローンを借りて返済口座を楽天銀行に設定すれば楽天ポイントのハッピープログラムのステージが1ランクアップし、楽天スーパーポイントが貯めやすくなります。普段から楽天を利用している人にとっては大きなメリットです。
ネット銀行の住宅ローン、デメリットは?
窓口がないことをデメリットに感じる人も
ネット銀行は店舗や窓口を設けないことでコストがカットされるからこそ、金利や手数料等の面でメリットがあります。しかし、店舗や窓口がないために『気軽に相談ができない』ことをデメリットと感じる人も。
窓口がないと不安という人もいるでしょう。
また、知りたいことや、困ったことが出てきたときに、ネット銀行のホームページで調べるのは時間がかかる、直接質問ができればいいのに、と思うことも。
ネット銀行の場合、コールセンターがあれば安心です。コールセンターのスタッフに相談にのってもらえるなら、不安は軽減されるのではないでしょうか
ネット銀行によっては、店舗やオンラインで対面相談ができるところもあります。不安な場合は、借入を検討しているネット銀行が対応しているかどうか、事前に確認しておきましょう。
事務手数料が割高な場合がある
ネット銀行の住宅ローンのメリットとして、保証料無料が多いことをあげましたが、注意しておきたいことも。
「保証料が無料でも、事務手数料が一律で数十万円と設定されていて、イニシャルコストは従来型の銀行と変わらないケースもあります。借り入れるときの諸費用がトータルでいくらかかるのか、申し込む前に確認しておくことが大切です」
ネット銀行の住宅ローンは審査が厳しい、時間がかかるってほんと?
ネット銀行の住宅ローンは審査が厳しく通りにくい、審査に時間がかかる、という話を耳にすることがありますが、本当でしょうか。
ネット銀行の場合、融資の審査はルールにのっとり、画一的に行っている可能性があります。
融資担当者と融資を受けたい人が直接話をして、個別の事情を勘案したうえで融資審査を行う、ということがないため厳しいと感じるケースがあるのかもしれません。
しかし、これは、審査が厳しいというより、ルール通りにきちんと審査する、ということ。そのネット銀行の融資基準をクリアしているなら問題なく借りられるはずです。
ただし、ネット銀行の場合は、融資の基準そのものが従来型の銀行に比べて厳しいことも。
例えば、ソニー銀行の場合、融資を受けるために必要な前年度の年収(自営業の場合は申告所得)は400万円以上。
従来型の銀行の場合、収入の安定性はチェックされますが、400万円未満でも年間返済額の割合がその銀行の基準の範囲内なら融資を受けることは可能です。ですから、年収によって従来型の銀行では借りられるのに、ネット銀行では借りられない、というケースはあるでしょう。
そのほか、クレジットカードでの支払いが何回か遅れてしまったなど信用情報に傷がある場合は、審査に通らないと考えていいでしょう。
また、現在返済中の借り入れがあると、その金額によっては希望額の借り入れが難しくなります。
これはどの銀行でも同じ。審査に落ちるのには、必ず何か理由があるはずですから、思い当たることはないか考えてみるといいでしょう。
そのほか、奨学金の返済が滞っている、審査を受ける際に他の借り入れについて忘れていて申告しなかった、または隠していた、などの理由でも審査に通りにくくなるので注意が必要です。
ネット銀行の住宅ローンの手続きは?
申し込みから契約まで、ほとんどがネットで可能
ネット銀行から住宅ローンを借りる場合、手続きの多くをパソコンやスマホで行うことになります。
ここでは、新築住宅(マンションや建売住宅)の購入費用を借り入れる際の流れをご紹介しましょう。
申し込みから融資実行までの流れは、物件を購入するのか、土地を購入して注文住宅を建てるのか、借り入れは新規なのか、借り換えなのかなどによって違ってきます。詳しくは各銀行のホームページで確認するといいでしょう。
ネット銀行の住宅ローン審査に必要な書類は?
事前審査と本審査の際には、それぞれ下記のような書類が必要です(ネット銀行や物件、住宅ローン商品によって必要書類は異なります。各銀行のホームページで確認を)。
ネット銀行と従来型の銀行で、手続きは何が違うの?
住宅ローンの申し込みから融資実行まで、おおまかな流れはネット銀行も従来型の銀行も違いはありません。ただし、ネット銀行の場合は店舗がないため、通常は銀行の店頭や応接室等で行う決済の場所を、物件の買主(住宅ローンを申し込む人)が選ぶことになります。
決済に関わるのは物件の買主(住宅ローンを申し込む人)、物件の売主(不動産会社など)、登記関連の書類を作成する司法書士。集まっての決済(立会決済)の場合は、不動産会社の事務所や店舗、司法書士事務所、買主が指定する場所などで行います。なお、立会決済を行わない場合は、司法書士の準備が完了次第、ネット銀行から買主への融資と不動産会社への振り込みが行われます。
ネット銀行の住宅ローンはどんな人に向いている?
忙しい人に便利なネット銀行
いつでも、どこからでも申し込みが可能なネット銀行の住宅ローンは、忙しくてなかなか銀行に行けないという人に向いています。
ネット銀行は口座の入出金をネットで確認します。通帳をもたないことに抵抗がない、ということもポイントでしょう。
窓口がないことにどうしても抵抗があるという人も、コールセンターがあれば電話で相談ができますし、最近はSkypeやZoomを使ったオンライン相談も利用できます。
従来型の銀行でも返済は口座から引き落とされますし、繰り上げ返済もネットでできます。住宅ローンを借りたあと、銀行の窓口に足を運ぶ必要があるのは、実は借り換えのときくらいです。
ネット銀行も窓口のある従来型の銀行も利便性でそれほど違いがないのであれば、住宅ローンの借入先にネット銀行を検討してみるのもいいでしょう。