空家等対策特別措置法の改正について分かりやすく解説!固定資産税6倍はいつから?
カテゴリ:売却
2023-11-26
日本国内では、増え続ける空き家が社会問題化しています。
そんな空き家に対する適切な対応を定めた法律が、「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。
空家等対策特別措置法は、2015年5月に全面施行された比較的新しい法律ですが、2023年6月にその一部を改正する法律が公布されました。
本稿では、空家等対策特別措置法の法改正のポイントを分かりやすく解説します。
空家等対策特別措置法とは、空き家の適切な管理方法や処理方法を定めた法律です。
正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが、「空家等対策特別措置法」や「空き家法」とも呼ばれています。
従来は、たとえ空き家であっても所有者の許可なく行政機関が立ち入り調査を行うことは認められていませんでした。
しかし、空き家法の施行によって敷地への立入調査が認められるようになり、住民票や戸籍などで所有者の個人情報を調べることも許可されるようになったのです。
空き家とは
空家等対策の推進に関する特別措置法第二条一項において、空き家とは以下のように定義されています。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
つまり、人が住んでいない、常態的に使用されていない家屋は、基本的にすべて空き家とみなされるということです。
また、第三条では所有者や管理者の責務として、以下のように定められています。
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
特定空家とは
また、空家等対策の推進に関する特別措置法第二条二項において、以下のいずれかに当てはまる空き家は、「特定空家等」と定義されています。
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
もし、所有する家屋が特定空家等に指定された場合は、行政の助言や指導に基づき、適切な対応を取らなければなりません。
空家等対策の推進に関する特別措置法は、増え続ける空き家への対応を定めた法律です。
しかし、現行法が施行されてからも、空き家の増加が止まることはなく、居住目的のない空き家はこの20年間で約1.9倍も増えています。
法律では特定空家への対応を重点的に定めているものの、それだけでは手に負えない状況に陥ってしまっているのです。
そこで2023年6月14日、空家等の活用拡大、管理の確保、特定空家等の除却等に総合的に取り組むことを目的として、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が公布されました。
ここからは、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正ポイントとなる3つの柱について、分かりやすく解説していきます。
空家等の活用拡大
空家等の活用拡大に取り組む背景としては、地域の拠点となるエリアに空き家が増え続けることで、本来の機能を低下させるおそれがあることが挙げられています。
実際に、移住者向けに空き家を活用している自治体はあるものの、建築基準法などの規制がネックとなり、建替えや修繕が上手く進められていないケースもあるようです。
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正では、市区町村が活用指針に定めた「敷地特例適用要件」に適合する空家であれば、前面の道が幅員4m未満でも建替えや改築等が容易になるなど、空き家を活用しやすくなる制度が整えられる予定となっています。
管理の確保
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正後は、「特定空家等」の増加を防ぐために、国や自治体が「管理不全空家等」を設定することができるようになります。
管理不全空家等とは、放置すれば特定空家等になるおそれがある空家等を指します。
管理不全空家として勧告を受けた空き家の所有者・管理者は、国の指導を受けながら、管理指針に即した措置を行わなければいけません。
例えば、定期的に換気や通水、庭木の伐採等を行うなどの管理ができない場合は、空家等管理活用支援法人等に管理を委託することなどが求められる予定です。
特定空家等の除却等
増え続ける放置空き家によるトラブルや被害を縮小するには、特定空家等の除却等についても迅速に進めていく必要があります。
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正では、特定空家等の除却等を円滑に進めるための内容も盛り込まれています。
例えば、現行法において特定空家等の除却等の代執行を行うには、緊急時でも命令等を経る必要がありました。
しかし、改正法では命令等の手続きを経ずとも代執行が可能となるので、迅速な安全の確保が可能となります。
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正による大きな変更点の一つが、固定資産税の額です。
従来は「特定空家等」のみが対象だった固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)の解除が、改正法では「管理不全空家等」も対象になることが組み込まれました。
つまり、現在は特定空家等に指定されていない空き家であっても、放置すれば特定空家等になるおそれがあると判断されれば、管理不全空家等として固定資産税の住宅用地特例が解除されてしまうのです。
今後は、固定資産税が従来の6倍になる空き家が増えることが予想されています。
「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」は、2023年6月14日に公布されました。
改正法の施行期日は、公布から6ヶ月以内と定められているため、近日中に施行されるでしょう。
施行日については、別途政令で定められることになっています。
空き家の取得経緯は、そのほとんどが「相続」です。
少子高齢化の社会において、親から受け継いだ空き家をそのまま放置してしまう人が多いという現状が問題になっています。相続した家を放置空き家にしないためには、早期に適切な処分を検討することが大切です。
続いては、空き家の所有者となったときに検討したい3つの対策方法を紹介します。
古家付き土地として売却する
最も手間がかからないのは、古家付き土地として売却する方法です。
築年数が古い一戸建ての場合はほぼ土地だけの価格で売却し、購入者がリフォーム等を行うケースが多いです。
解体して更地を売却する
空き家を解体し、更地にしてから販売するという方法もあります。
築年数が古い一戸建ての場合、土地のみの状態で販売したほうが買い手がつきやすく、高く売れるケースも存在します。
解体費用の目安は、木造住宅の場合は1坪あたり5〜7万円程度、鉄骨造の場合は1坪あたり6〜10万円程度です。解体にかかった費用を販売価格に上乗せしても、更地にしたほうが売りやすいという場合は、空き家の解体も検討しましょう。
リフォーム・建替えをする
相続等で引き継いだ家は、必ずしも処分しなければならないわけではありません。手放すのではなく、リフォームや建替えをして活用する方法もあります。
特に、立地の良い場所にある家の場合、リフォームや建替えをすれば賃貸物件として活用できるケースも多いです。
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、特定空家や管理不全空家など、周囲に被害をもたらす可能性がある空き家に対する対応が強化されることになります。特に、特定空家や管理不全空家とみなされてしまうと、これまでの6倍の固定資産税がかかることになるため、早めの対策が不可欠です。
しかし、空き家を何とかしたいと思ってはいるものの、何から始めれば良いか分からないという方も多いものです。
そのような場合は、空き家対策について無料で相談できる不動産コンシェルジュを活用してみてはいかがでしょうか。
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