ポイント
【新築】
・新たにつくられた「GX志向型住宅」に適合する性能があると、補助金額が160万円
・長期優良住宅は100万円~80万円、ZEHで60~40万円となっています
・補助金額の差から、住宅市場として断熱・省エネをさらに向上させていく方向性がみえる
・2024年11月22日以降に上棟された建物が対象となり、注文住宅だけでなく分譲建売もスケジュールや性能値が適合していれば対象となる
【リフォーム】
・断熱改修やエコ設備を設置することなど、必須工事3種類すべてを実施すると上限60万円の補助金になる(2種類の場合は上限40万円)
・2024年11月22日以降に着手した工事が対象となる
【共通】
・2025年3月下旬から受付開始
子育てグリーン住宅支援事業では、上記のような補助金額になっています。
昨年までの子育てエコホーム支援事業では、長期優良認定住宅が100万円、ZEHが80万円という補助金額でしたが、変化点としてはGX志向型住宅に新設と、既存住宅解体での補助金差が発生したことです。
この補助金額からは、国がさらなるCO2削減を推進するため、ZEHが普及してきたこと、耐震性などを担保することが必要な長期優良認定住宅を推進していく方向性などが見えます。
それでは、今年新設された「GX志向型住宅」の詳細をみていきましょう。
1-1. GX志向型住宅とは

まずGXとは、グリーントランスフォーメーションの略語で、石油を中心とする化石エネルギー中心の社会から、再生可能エネルギーを中心とする社会への変革を目指す取り組みを指します。
日本では全エネルギー消費において、住宅が占める割合は約4割程度となっており、年々上昇傾向にあります。
国としては、パリ協定でのCO2削減率を達成させていくために、新築やリフォームでの断熱・省エネ機器に対して手厚い補助金を出して社会全体のエネルギー消費量を下げようとしているわけです。
今回の子育てグリーン住宅支援事業で初めて出てきたGX志向型住宅は、ZEH・長期優良認定住宅に比べて断熱性・省エネ性をグレードアップした住宅です。
違いを表でみてみましょう。
このように、断熱性や省エネ性がさらに強化された住宅である、と覚えておきましょう。
さらに、GX志向型住宅は世帯の制限がないため、年齢や婚姻関係の有無などに関係なく活用することができます。
1-2. ZEH・長期優良認定住宅の補助金解説

ZEHや長期優良認定住宅の細かい解説は省略しますが、ここでの注意点はもらえる世帯の制限と、解体すべき既存住宅の有無での補助金額の変動です。
まずは、適用できる世帯制限からみていきましょう。
子育てグリーン住宅支援事業でZEH・長期優良認定住宅での補助金が適用できる子育て世帯とは、「18歳未満の子を有する世帯」、若者夫婦世帯とは「夫婦のいずれかが39歳以下の世帯」となっています。
この条件にあてはまらない場合は、GX志向型住宅へ変更するとよいでしょう。
つぎに「解体すべき既存住宅の有無」ですが、空き家が社会全体の大きな問題となっており、国としての既存住宅の入替を促進したい思惑もあり、このような制度になっているものと想定されます。
◆長期優良認定住宅:既存住宅撤去がある場合は100万円 / 戸、ない場合は80万円 / 戸
◆ZEH:既存住宅撤去がある場合は60万円 / 戸、ない場合は40万円 / 戸
そのため、この制度を利用する場合、既存住宅がある土地を購入・解体して、新築するというパターンでもよいでしょう。
最後に、子育てグリーン住宅支援事業のスケジュールについて解説していきます。
24年11月時点の発表資料では、工事着工日に関するスケジュールだけが決まっています。
2024年11月22日以降に上棟された建物(発表資料では基礎工事より後の工程の工事と記載)が対象となります。
これは注文住宅だけでなく、分譲建売や賃貸住宅でもスケジュール・性能値が適合していれば対象となります。
2. 【リフォーム】リフォームは最大60万円 / 戸
つづいて子育てグリーン住宅支援事業のリフォームに関する解説をしていきます。
リフォームについては、昨年度の「子育てエコホーム支援事業」と同様、断熱工事などの必須工事を含むことが前提条件となり、最大で60万円の補助金が出ます。
新築と同様、断熱性や省エネ性を高めるリフォーム工事に対して補助金が出るような仕組みになっている、と考えて読み進めてもらうと分かりやすくなります。
2-1. 補助金額は上限という形で60~40万円

新築の場合は、固定金額で補助金額が適用されますが、リフォームは工事の内容によって補助金額が変動します。
そのため、上限額が設定されている形です。
下限の補助金額は11月の省庁の資料には記載されていませんが、例年の傾向から補助金適用額が5万円以上にならないといけない、などの下限が出ることが予想されます。
それでは、工事内容と補助金額をみていきましょう。
◆必須工事は以下の3つのメニューです
① 開口部の断熱改修:開口部=窓・玄関ドア・勝手口の改修(内窓・入替工事)
② 躯体の断熱改修:床・天井・壁などに断熱材を補填・入替する工事
③ エコ住宅設備の設置:エコキュート、節水タイプの水栓がある洗面所、高断熱浴槽があるお風呂など
※①,②についてはZEH水準に相当する省エネ性能以上の改修工事に限る
◆付帯工事
11月時点の発表資料では詳細が発表されていませんが、例年の傾向では「子育てに役立つ設備」などが対象となる想定です。
例えば食器洗い乾燥機や、宅配ボックスなどがあげられます。
ただし、補助対象となるのは「必須工事」を行う場合に限り、この付帯工事だけでは補助金の適用になりません。
今回ご紹介した、子育てグリーン住宅支援事業は、昨年度の制度と同様多くの方が利用される補助金になると想定されます。
ZEH補助金などと比べて補助金額が高いこともあり、GX志向型住宅にグレードアップすることで例年にはない160万円という補助金が適用されます。
なかなか無いチャンスになっていますので、この機会に高性能住宅を検討してみてはいかがでしょうか?