皆さんは、「BELS(ベルス)」という言葉を聞いたことがありますか?
「BELS」(「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称。)とは、建築物省エネ法第7条に基づき建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度の1つで、一般社団法人 住宅性能評価・表示協会が運営しています。

BELSは、住宅や建築物の省エネ性能を第三者機関が評価・認定する制度です。性能は5段階の星マークで表示されるため、専門知識がなくても一目で理解できます。新築だけでなく既存の建物も対象となるのが特徴です。
BELSを取得すると、第三者機関による客観的な評価が得られ、建物の信頼性が高まります。省エネ性能が明確になるため光熱費の節約につながるほか、ZEH補助金の申請や、将来売却する際の資産価値の維持にも役立ちます。
2014年4月の創設以来、建築物の省エネ性能の適切な情報提供や、省エネ性能の一層の向上を促進する役割が期待されている「BELS」は、
建築物に対する新しい表示制度の1つなのです。日本でも車や家電と同様に建物の燃費(エネルギー消費性能)を確認して選択することができるようになりました。
この「BELS」は、新築・既存を問わず申請をすることができ、申請書や図面・計算書などの設計図書に基づく評価となります。
「BELS」は、以前までオフィスビルや店舗のような非住宅建築物が対象でしたが、2016年4月1日より住宅の申請も受け付けを開始しまし
た。
近年、住宅を建てる際にも環境への配慮が求められるようになり、「ZEH(ゼッチ)」が注目されています。ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、エネルギーの収支をゼロに抑えることを目標とした住宅のことを指します。
また、ZEHと同じく目にする「BELS(ベルス)」という言葉との違いが分からない人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなBELSについて分かりやすく解説します。

BELS(ベルス)とは?
BELSとは、「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称で、一般社団法人住宅性能評価・表示協会が定めた建築物の省エネ性能(燃費)について、評価・認定する制度のことを指します。
簡単にいうと、住宅を含む建築物の省エネ性能を、星の数で表示する認証制度ということです。
BELSは建物の省エネ性能を第三者が評価するシステムで、新築のみではなく既存の建物にも適用できます。省エネ住宅の性能を分かりやすく視覚化したものがBELSです。
BELSを取得するメリットは?
BELSの目的は、建築物のエネルギー消費性能を見える化することで、性能の優れた建築物が市場で、適切に評価や選択されるような環境整備などを図れるようにすることです。
ここでは、BELSを取得するメリットについて解説します。

建物の省エネ評価が一目で分かる
BELSは、建物の省エネ度を5段階評価の星のマークで表示します。そのため、建築に関する知識のない人でもビジュアルで評価結果が分かりやすいというメリットがあります。
第三者機関の評価のため信頼性が高い
BELSは一般社団法人住宅性能評価・表示協会が運用しています。
ハウスメーカーや工務店などの発表しているデータは、それぞれの独自評価であることが多いです。一方でBELSは、各会社の基準ではなく、第三者機関による評価のため客観性に優れています。
ランニングコストの節約になる
BELSの認定を受けている住宅は、つまり省エネ住宅です。
省エネ性能が高いと電気などの節約になり、少ない消費エネルギーで生活することができます。そのため、BELSの指標が高ければ高いほどランニングコストの節約につながります。
ZEHの補助金制度の申請に活用できる
省エネ住宅であるZEHには、ZEH支援事業(補助金制度)が用意されています。
しかし、この制度を利用するにはBELSなどの第三者機関の認定が必要です。BELSを取得していれば、このZEH支援事業の補助金を申請する際の提出書類として使うことができます。
売却時に性能証明ができるため価値を保ちやすい
BELSを取得していると、住宅の省エネ率を客観的に証明できます。つまり、その住宅の資産価値は高いと評価され、売却する際にも価値を落とさずに価格設定することができます。
BELSとZEHの違いは?
BELSとZEHは、どちらも住宅の省エネに関する言葉です。BELSは性能を評価する「制度」のことで、ZEHは特定の省エネ基準をクリアした住宅、または基準そのものを指します。
BELSが証明するのはZEHに限りませんが、BELSは省エネの評価基準のひとつと覚えておくといいでしょう。
BELSの評価方法と表示内容
BELSは設計時点での省エネの性能を、下記の2つの指針にのっとって評価しています。
建築物の外皮性能における指標
建築物で消費される一次エネルギー消費量における指標
外皮性能とは、簡単にいうと屋根や壁・開口部などの断熱性や遮熱性のことをいい、外の気温に関わらず、どこまで気密性を保てるかを評価しています。
また、一次エネルギーとは、加工されない状態で提供されるエネルギー(石油、石炭、原子力、天然ガス、水力など)のことを指し、この消費量を求めるのにBEI(ビーイーアイ:Building Energy Index)という数値が必要です。
つまり、BELSの評価方法とは、算出されたBEIの数値と外皮性能によって評価されています。
星の数の算出方法
BELSの星の算出方法は、外皮性能の指標は含まず、BEI(一次エネルギー消費量基準)の数値で認定されます。

星が多ければ多いほどレベルの高い省エネの住宅であるということになり、最高ランクは星5です。また、住宅と非住宅では下記のように基準が異なっています。
BELSの表示項目
BELSの表示項目は、下記のようにそれぞれ表されています。
表示項目
・建築物省エネルギー性能表示制度の名称
・一次エネルギー消費性能を星の数で評価
・基準一次消費エネルギーに対する削減率の表示と各消費エネルギー間の関係性を表すグラフ
・一次エネルギー消費量、および外皮性能の省エネ基準への適合可否表示
・ZEH認定を取得している証明
よくある質問
Q1:最近よく聞く「BELS(ベルス)」とは何ですか?
A1:BELSとは、建物の省エネ性能を星の数(5段階)で評価する制度です。自動車の燃費表示のように、エネルギーをどれだけ効率的に使えるかを示しています。専門家でなくても、星の数を見るだけで性能を直感的に判断できるのが特長です。
Q2:BELSの評価は誰が行うのですか? 信頼できるのでしょうか?
A2:評価は、建物を建てたハウスメーカーや工務店ではなく、国が認めた第三者機関が行います。利害関係のない中立的な立場から評価されるため、客観性が高く信頼できる指標といえます。
Q3:BELSの評価が高い家に住むメリットは何ですか?
A3:BELSの評価が高い住宅は省エネ性能に優れています。断熱性や気密性が高いため、夏は涼しく冬は暖かく、少ないエネルギーで快適に過ごせます。結果として、毎月の光熱費を抑えられるのが大きなメリットです。
Q4:「ZEH(ゼッチ)」とは違うのですか?
A4:BELSが建物の省エネ性能を評価する「制度」の名称であるのに対し、ZEH(ゼッチ)は、エネルギー収支をゼロ以下にすることを目指した「住宅」そのものや、その基準を指します。BELSは、その住宅がZEHの基準を満たしているかを証明する際の「ものさし」の役割も担っています。
Q5:BELSの星の数は、どのように決まるのですか?
A5:星の数は、建物のエネルギー消費量を示す「BEI(ビーイーアイ)」という数値によって決まります。星が多いほど省エネ性能が高く、星5つが最高ランクです。
Q6:BELSの認定を受けると、補助金がもらえますか?
A6:BELSの認定自体で、直接補助金がもらえるわけではありません。ですが、「ZEH」など国の補助金制度の対象となる省エネ住宅を建てる際に、その性能を証明する書類としてBELSの評価書が必要になる場合があります。
Q7:将来、家を売るときにBELS認定は有利になりますか?
A7:はい、有利に働く可能性が高いといえます。BELS認定は住宅の省エネ性能を客観的に証明するものです。そのため、将来ご自宅を売却する際に建物の付加価値としてアピールでき、資産価値が評価されやすくなるでしょう。
Q8:BELSの評価書には、星の数以外に何が書かれていますか?
A8:評価書には、5段階の星評価に加えて、エネルギー消費量の削減率を示すグラフも記載されています。さらに、国が定める省エネ基準やZEH基準に適合しているかも表示されるため、建物の性能をさまざまな角度から確認できます。
Q9:BELSは新築の家しか取得できませんか?
A9:いいえ、新築住宅だけでなく既存住宅も評価の対象です。リフォームで省エネ性能を高めた際に、改めて評価を取得することもできます。


